出自を知る権利とは
「自分がどのようにして生まれたのか?」「自分の遺伝子のルーツはどこにあるのか?」を知る権利のこと。
1989年の国連総会で再釈された子供の権利条件に「父母を知る権利」(いわゆる「出自を知る権利」)が記された。
日本も1944年に批准しており、養子縁組や親の再婚などによって家族や親子関係が多様な広がりを持ってきた中で、子どもにとって重要な権利だと考えられている。
近年では、代理懐胎や、第三者の精子提供、卵子提供などの生殖補助医療によって生まれたこにも認められる権利だとされている。
生みの親と育ての親が同じ場合には、出自について考える機会は少ないかもしれませんが、第三者の精子提供や卵子提供などで生まれた子どもたちにとっては切実な気持ちであり、知りたいと思う理由も人それぞれです。しかし、出自を知りたいということは、必ずしも提供者に会いたいという意味合いではありません。
日本での生殖医療制度の法律
日本ではまだ法整備がされていませんが、2003年に「精子・卵子・胚の提供などによる生殖補助医療制度の整備に関する報告書」が、まとめられました。
・生まれてくるこの福祉を優先する
・人を専ら生殖の手段として扱ってはならない
・安全性に十分配慮する
・優生思想を排除する
・商業主義を排除する
・人間の尊厳を守る
その後2020年、生殖補助医療のあり方を考える議員連盟が精子提供で生まれた子を父親の親子関係などを定めた民法の特例法を提出し国会で成立しました。
※現在も「出自を知る権利」などについてまとめた生殖補助医療についての法案は提出されていません。
生殖補助医療をご検討の方へ
子どもが「自分の出自を知りたい」と願った時、きちんと答えてあげられる環境づくりが大切です。
知りたいと思う子もいますし、知りたくないと思う子もいます。また知りたいと思うタイミングも理由も人それぞれです。
精子提供や卵子提供などで生まれた事実を親が子どもに告知する必要が生じる可能性があります。
子どもは親と同じ人格ではなく、別個の存在だということを十分に理解してください。
子どもが自分のアイデンティティーを知るために「事実を知りたい」と要求する可能性があることを理解した上で、生殖補助医療の治療をお願い致します。