FTM父になる① 太田さん

様々な家庭・家族の在り方、そして子作り・子育てのカタチがある現代。
実際にどのような家族・家庭・子作り・子育てがあるのか?を紹介していく【FTM父になる。】シリーズ第一弾のインタビューは太田有矢さんです。

ご自身がトランスジェンダーである太田有矢さんの場合

■まず、家族構成を教えてください

妻と息子1人の3人家族です。

■ご自身がFTMということですが、どのように息子さんを迎え入れられましたか?

特別養子縁組という制度を利用しました。
我が家の場合は、児童相談所からの委託で「新生児委託(愛知方式)」でした。

■お子様を持つということで奥様と話し合われたかと思いますが、どのような話し合いをされ、特別養子縁組を選択されたのでしょうか?

結婚する前から、子どもの話はしていました。
僕自身が過去に保育士をしていたということもあり「養子縁組や里親制度」に関しては知識がありました。
第三者の精子提供の方法も含めて話したところ「自分の好きな人じゃない人の精子で子どもを持つということが受け入れられない」という夫婦の結論から、養子縁組という方法で子どもを持つことをしました。

特別養子縁組を選択してから登録に至るまで

■里親としての子育てではなく、養子縁組まで希望されたのはどうしてですか?

里親として子どもを育てるのは、自分の戸籍に子は入らず「実子」になりません。
実子として迎え入れることを希望していたので、特別養子縁組をしました。

■特別養子縁組として息子さんを迎え入れられるまでの道のりを教えてください。まずは何をされましたか?

インターネットの検索などで、「特別養子縁組」を調べました。
民間の養子縁組斡旋団体などもあって、その中で『里親認定書』が必要なところが多かったので、それを調べていくと「児童相談所で発行」と書いてありました。
「まずは児童相談所へ相談だ!」とうことで、管轄の児童相談所に連絡を入れました。連絡をすると「まずはお越しください」と言われるので、夫婦で話を聞きにいきました。
そこで、『半年ほどの研修があること』『研修を受けてから、里親にふさわしいかの判定がされること』『認定を受けても絶対子供が委託されるわけではないこと』など色んな話を聞きました。
それでも「子どもを迎えたい」と思ったので、自分のことも正直に話した上で研修を受け、認定をいただきました。

委託の話があったのは、里親登録から約2年後でした。

お子様へのカミングアウト

■お子様が成長される中で、ご自身のセクシュアリティについてはカミングアウトされる予定ですか?

はい。
養子縁組を組んだ場合「養子であること」と伝える『真実告知』は早めにするように言われています。
「養子であること」と伝えた先には「なぜパパとママから生まれなかったのか」に行き着くので、そこで正直に話そうと思っています。

周りと違うこと、セクシュアルマイノリティーの存在などに関しては、今のうちから触れさせていて、同じ里子として育っている家族と交流したり、LGBTのイベントに連れて行ったりしています。

■自然妊娠・出産ではなく、養子であること、ご自身が抱えていらっしゃるセクシュアリティについてなどを息子さんにお話されることはどのように考えられていますか?

多様性の1つとして捉えています。
「右へ倣え・みんな同じ」という時代は終わりです。
それぞれ違うのは当たり前、その違いを認められる子に育って欲しいと思っています。

Message

■これから子供を迎え入れられる予定の方、また考え中の方へメッセージをお願いします。

結婚という形を取らない、子どもを持たない、というのもアリだと思います。
それぞれの幸せの形があっていいと思います。
「自分にとって何が幸せか」「子どもにとって何が幸せか」を夫婦やご家族とよく話し合ってみてください。

『子どもが可哀想』という声を聞きますが、本当にそうでしょうか?
頭の中の憶測だけで判断せずに、自身の目で見て判断してください。
相談できる人はたくさんいますので、ぜひぜひ頼って欲しいなと思います!!

最後に…
夫婦も所詮他人です。
その2人が家族になれるのであれば、子どもの血が繋がっていなくても家族になれると思っています。