FTM父になる③ 松本さん

様々な家庭・家族の在り方、そして子作り・子育てのカタチがある現代。
実際にどのような家族・家庭・子作り・子育てがあるのか?を紹介していく【FTM父になる。】シリーズ第三弾のインタビューは松本昌也さんです。

トランスジェンダー子作りインタビュー vol.3 松本昌也さんの場合

■現在の家族構成を教えてください

妻・息子の3人家族です。

■ご自身がFTMということですが、どのようにお子様を迎え入れられましたか?その頃の心境も教えてください

当時お付き合いしていた彼女には既に子供がいて、結婚=子供ができる。という形でした。彼女の子供とはもちろん血縁関係もないので、今後、子供と話しをした時に、本当のお父さんが良かったなど思われないように、子供に対して真正面に向き合っていこうと思いました。

■お子様が何歳の時、現在の奥様とご結婚されましたか?

6歳です。

結婚・子供・カミングアウト

■昔から結婚したい、子供を含めての家庭がほしい。と思われていましたか?

結婚したいとか、子供が欲しいとか、そういうことはあまり思っていなかったです。
年齢的に結婚ができる時代ではなかったので、いいパートナーができたらいいなとしか考えていませんでした。

■ご結婚をされる=お子様を迎え入れる。ということで、ご夫婦間で話し合われたことがあれば教えてください。

妻のご両親にどう伝えるか、子供に本当のことを伝えるタイミングや伝え方については、よく話し合いました。

■現在、お子様にはご自身がFTMであることはカミングアウトされていますか?

カミングアウトは、まだしていません。
2歳半から一緒に暮らしているため、自分を父親だと思っています。

■今後、お子様にご自身がFTMだということをお話する予定はありますか?

話をする予定です。
いつするか、具体的な時期は、決めていないですが、時期をみて話をしようと思っています。

■血縁関係が無く、父親になったわけですが、戸惑うことや困ったことはありますか?

困ったことは特にありませんが、現在、まだカミングアウトをしていないので、トイレへ一緒に行く際、私は必ず個室を使用するので、それについてはたまに戸惑います。

■父親になって良かった。と思う瞬間や何かエピソードがあれば教えてください。

父親になって良かった事は、子供の学校行事や習い事に参加できる事です。独身やカップルだとできない事ができる事です。それに、子供をきっかけに知り合う人も多く、色んな人との繋がりを持たせてくれる事も感謝しています。

エピソードは、4歳ぐらいの時に1人で初めてのおつかいを頼んだんですが、私が後ろからビデオ撮影をしながら、こっそり付いていったんですが、後で聞いたら、付いてきていたのがバレていたようでした。
テレビのようにうまくいかないなぁと思いましたが、こういったこともいい思い出になっています。息子もその時のことは、まだ覚えているようです。

反対するご両親と向かい合った時間

■お互いのご両親にはどのようにお話をされましたか?

私の両親に伝えた時は、まず相手方のご両親に「自分自身の事を話ししているのか?」と言われ、何よりも相手方のご両親の心配をしていました。
私の両親からすると、FTMと付き合う事を良かれと思われないと思っていたようです。
既に子供がいるという事で、心配もたくさんあったと思いますが、息子とも妻とも優しく接してくれていました。

相手のご両親へは、妻が伝えましたが、最初は全く理解してもらえず、「子供がいじめにあったらどうするんだ。」などと言われ、反対されていました。
それから約4年かけて少しずつ妻の父親と話をすることもでき、結婚を許してもらえました。
反対されていた当初は、その気持ちを受け止め、誠実に対応するしかないと思っていましたし、時間をかけてご両親との関係を築いてきたと思います。

■現在はどのような関係性でしょうか?

今はどちらの両親とも仲良くさせてもらっています。

Message

■これから子供を迎え入れられる予定の方、考え中の方へメッセージをお願いします。

私は子供がいらっしゃる方と付き合うのは今回が2回目です。
21歳の時に経験し、その時 母と思うより彼女と思う方が強くて、子供に対してもやきもちをやくこともありました。
恋愛をしたかったんだと思います。
そして、私が大人になれずにいた為、別れることになりました。

時が経ち、また子供を育てるチャンスがきました。
私は、パートナーと子供を別に考え、お互いが大事な存在になりました。
そして、母である事が凄い事・素敵な事、子供の存在がとても大きい事に気付きました。
それは過去には分からなかった事で、過去の反省があったからこそ気づけたんだと思います。

子供の親になる事は、難しいと思うかもしれませんが、FTMだからとかは考える必要無いと思います。そして私が頑張って育てる、などの気負いも必要ありません。頑張りすぎても空回りしてしまいます。

一緒に楽しい時間を過ごす事、思い出を沢山作る事、子供と一緒に歩んでいくこと、血の繋がりよりも一緒にいる時間や思い出が大事だと私は思っています。

これからいろんなご縁があるかと思いますが、1つ1つのご縁を大事にしてください。